耳鼻咽喉科・アレルギー科 たなかクリニック院長がお答えします!
インフルエンザについて
- インフルエンザワクチンはどの程度効果があるのですか?
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ワクチンの接種により、インフルエンザによる重篤な合併症や死亡を予防し、健康被害を最小限にとどめることが期待されています。ただし、その効果は、年齢・本人の体調・そのシーズンのインフルエンザの流行株とワクチンに含まれている株の抗原性の一致状況によって変わります。
- インフルエンザ予防接種はいつ注射すればいいのですか?
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インフルエンザの流行は1月上旬から3月上旬が中心であること、ワクチン接種による効果が出現するまでに2週間程度必要なため、毎年12月上旬までにワクチン接種を受けることが望ましいと考えられます。なお、ワクチンの効果は約5ヶ月間その効果が持続するとされています。
- インフルエンザ予防接種は希望すれば全員受けられますか?
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体調など、予防接種法に基づいたインフルエンザワクチンの定期接種が不適当と考えられる方もおられます。
たとえば、
1. 接種当日、明らかな発熱*を呈している者
2. 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
3. 当該疾病に係る予防接種の接種液の成分によってアナフィラキシーショックを呈したことが明らかな者
4. その他、予防接種を行うことが不適当な状態にある者
※通常は、37.5度を超える場合をいいます。 - インフルエンザ予防接種によって引き起こされる症状(副反応)には
どのようなものがありますか? -
比較的頻度が高い副反応としては、接種した部位(局所)の発赤・腫脹、発熱、頭痛などがあげられます。全身性の反応としては、発熱、頭痛、悪寒、倦怠感などが見られます。また、まれに、ワクチンに対するアレルギー反応(発疹、じんましん、発赤と掻痒感)が見られることがあります。
接種局所の発赤、腫脹、疼痛は、接種を受けられた方の10~20%に起こりますが、2~3日で消失します。全身性の反応は、接種を受けられた方の5~10%にみられ、2~3日で消失します。
その他にギランバレー症候群(GBS)、急性脳症、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、けいれん、肝機能障害、喘息発作、紫斑などの報告がまれにありますが、これらの疾患とワクチンとの関連についてはまだ明らかになっていません。 - インフルエンザワクチンの接種によってインフルエンザを
発症することはありますか? -
インフルエンザワクチンは、不活化ワクチンですので、病原性はありません。そのため接種によってインフルエンザを発症することはありません。ワクチン接種後に発熱した場合も、インフルエンザ以外の他の発熱性疾患にかかった可能性が考えられ、必ずしもワクチンそのものによる副反応とは限りません。
- インフルエンザと普通の風邪はどう違うのですか?
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通常の風邪(感冒)は、のどの痛み、鼻汁、咳などの症状が中心で、全身症状はあまり見られません。発熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することはあまりありません。 一方、インフルエンザは、普通の風邪と同じように、のどの痛み、鼻汁、咳などの症状も見られますが、38度以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身の症状が突然現れます。
- インフルエンザはいつ流行するのですか。
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日本では例年11月~4月に流行します。
- インフルエンザにかからないためにはどうすればよいですか?
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インフルエンザを予防する方法としては、以下があげられます。
・帰宅時の手洗い、うがい
咽頭粘膜や手指など身体に付着したインフルエンザウイルスを物理的に除去するために有効な方法です。
・流行前のワクチン接種
インフルエンザワクチンは、罹患した場合の重症化防止に有効と報告されており、我が国でも年々ワクチン接種率が上昇してきています。
・適度な湿度の保持
空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では加湿器などを使って、十分な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。
・十分な休養と栄養摂取
からだの抵抗力を高めるために十分な休養と栄養を日ごろから心がけましょう。
・人混みや繁華街への外出を控えること、外出時のマスク着用
インフルエンザが流行してきたら、特に高齢者や慢性疾患を持っている人、疲労気味、睡眠不足の人は、人混みや繁華街への外出を控えること、外出時にはマスクを着用することも効果があります。 - インフルエンザにかかったらどうすればよいのですか?
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自分のからだを守り、他の人にうつさないために、早めに医療機関を受診して治療を受けましょう。 安静にして、休養をとりましょう。特に、睡眠を十分にとることが大切です。水分を十分に補給しましょう。お茶やスープなど飲みたいもので結構です。
- インフルエンザの治療薬にはどのようなものがありますか?
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インフルエンザに対する治療薬としては、抗インフルエンザウイルス薬(リン酸オセルタミビル、ザナミビル水和物、塩酸アマンタジン)があります。ただし、その効果はインフルエンザの症状が出はじめてからの時間や病状により異なりますので、使用する・しないは医師の判断になります。抗インフルエンザウイルス薬を適切な時期(発症から48時間以内)から服用を開始すると、発熱期間は通常1~2日間短縮され、ウイルス排泄量も減少します。
- 抗生剤はインフルエンザに効果がありますか?
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インフルエンザウイルスに抗生剤は効きませんが、特に高齢者や体の弱っている方は、インフルエンザにかかることにより細菌にも感染しやすくなっています。このため、細菌にも感染する(混合感染)ことによっておこる肺炎、気管支炎などの合併症に対する治療として、抗菌薬が使用されることはあります。
- インフルエンザにかかったら、どのくらいの期間外出を控えればよいのでしょうか?
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一般的に、インフルエンザを発症してから3~7日間はウイルスを排出すると言われています。ウイルスを排出している間は、患者は感染力があるといえます。
排泄されるウイルス量は解熱とともに減少し、排出期間の長さには個人差があります。咳などの症状が続いている場合には、咳やくしゃみをする際にはティッシュで口元を覆う、あるいはマスクをするなど、周囲への配慮が望まれます。
参考までに、学校保健法では、「解熱した後2日を経過するまで」をインフルエンザによる出席停止期間としています(ただし、病状により学校医その他の医師において伝染のおそれがないと認めたときはこの限りではありません)。 - インフルエンザの流行の歴史について教えてください。
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インフルエンザの流行は歴史的にも古くから記載されていますが、科学的に立証されているのは1900年ごろからで、数回の世界的大流行が知られています。中でも、1918年に始まった「スペインかぜと呼ばれるインフルエンザ(A/H1N1亜型)」では、当時、インフルエンザによる死亡者数は全世界で2,000万人とも4,000万人ともいわれ、日本でも約40万人の犠牲者が出たと推定されています。その後、1957年にはアジアかぜと呼ばれるインフルエンザ(A/H2N2亜型)が、1968年には香港かぜと呼ばれるインフルエンザ(A/H3N2亜型)が世界的な大流行を起こしています。
インフルエンザの重症化について
インフルエンザの流行は歴史的にも古くから記載されていますが、科学的に立証されているのは1900年ごろからで、数回の世界的大流行が知られています。中でも、1918年に始まった「スペインかぜと呼ばれるインフルエンザ(A/H1N1亜型)」では、当時、インフルエンザによる死亡者数は全世界で2,000万人とも4,000万人ともいわれ、日本でも約40万人の犠牲者が出たと推定されています。その後、1957年にはアジアかぜと呼ばれるインフルエンザ(A/H2N2亜型)が、1968年には香港かぜと呼ばれるインフルエンザ(A/H3N2亜型)が世界的な大流行を起こしています。
よく報じられているように、慢性呼吸器疾患、慢性心疾患、代謝性疾患(糖尿病など)、腎機能障害、免疫機能不全(ステロイド内服、悪性腫瘍など)をお持ちの方、幼児、妊婦、高齢者の方は新型インフルエンザに感染すると重症化する危険性があり早期の治療が望まれます。
しかし、健康で基礎疾患をお持ちでない方も新型インフルエンザでは重症化する場合もあります。
重症化を疑わせる症状
小児では
- ・呼吸が速い、息苦しそうにしている。
- ・顔色が悪い(青白いなど)。
- ・嘔吐や下痢が続いている。
- ・落ち着きがない、遊ばない、反応が鈍い。
- ・症状が長引いていて悪化してきた。
成人では
- ・呼吸困難または息切れがある。
- ・胸の痛みが続いている。
- ・嘔吐や下痢が続いている。
- ・3日以上、発熱が続いている。
- ・症状が長引いていて悪化してきた。